山の知識検定に合格した時の話
登山を始めてから約1年が経とうとしていた2018年11月。
山の知識検定というものを受験しました。
山の知識検定(ヤマケン)は2011年度に始まり、2020年度は第10回目を迎えます。このヤマケンの目的は、山の知識を学ぶことによって山岳遭難事故を防止し、山の自然を守って楽しく山に登ることを提唱するためにおこなっています。しかし、山の知識は自然、歴史、運動生理、気象、技術、医学、芸術など極めて広範で深さがあります。そこで山の知識検定では、登山レベルに応じた知識の分野や幅、深さが提示されていれば、何を学べばよいかが明確になり自習もしやすいのではないかと考え、これらを提示し登山者の学習の動機付けをおこない、より楽しく、遭難事故を防ぎ、自然を守る山登りの実現を支援します。また、山の知識検定の開催実施を通じて、日本の国民的スポーツである登山の振興を図ります。
という触れ込みで、JROが協賛、スポーツ庁や山と渓谷社などが後援をしている検定です。
結果はシルバー合格でした。いずれはゴールドを受験しようと思っていますが、まだまだ知識が足りないので色々なところから知識を吸収している最中です。
なぜこの検定を受けようと思ったのか
すでに前回の記事で書きましたが、初めての登山が2017年の年末だった僕。
簡潔に言えば、1年間でどれくらい山のことを知ることができたのか、ちょっと試したくなったのです。
初登山をした日からの初年度は、今になって振り返ると年間山行日数は35日。
1年目にしては結構頻繁に山に行っているんじゃないでしょうか。
この頃の僕は、とにかく知らない山に登ることが楽しくてたまりませんでした。まぁそれは今となってもあまり変わりませんし、まだ登ったことのない山に沢山登りに行きたいという欲求は尽きていません。むしろ、登山の行動の幅というかクライミングにも手を出し始めたことによってできることが増えてくるので、必然的に行きたい場所は増えていく一方です。休みは限られてるのに。笑
そんな1年目の僕でしたが、登りながらもぼんやりと考えていることがありました。
「誰からも何も教わらないままでいいのだろうか」と。
一般登山道を歩いている限り、例えば山のグレーディングがそんなに高いところでなければ、大抵の人はただ登ってただ降りてということを繰り返しています。
それは、言い換えると、「何も意識せずとも足を動かしていれば登れてしまった」ってことなんじゃないかと思い始めたわけです。あくまで結果として。
好きで山に登っている以上、自分がしていることがどういうことなのか理解し、受動的でなく能動的な登山者になったほうが、この登山という趣味の充実度が増していくように思われました。
それに登山には遭難・滑落・低体温症等危険が付き物。完璧とは言えないかもしれないけれども、自分にできることは本当はもっとあるんじゃないかと。その考えは今も変わってません。
人の山行記録とかを見ていると、もっともっと自立した登山者にならねばなと思う 自立がどんな定義づけかはさておき、自分の中でできることはまだまだ沢山ある
— 和泉 (@6izumi9) 2020年5月19日
そんな考えの端緒にもなったのが、この山の知識検定でした。
検定の概要
山の知識検定にはグレードが3つ存在しています。上から順にゴールド、シルバー、ブロンズです。現在ではブロンズとシルバーを同時受験することができますが、ゴールドについてはシルバーに合格している人でないとそもそもの受験資格がありません。
検定内容は大きく分けて以下の三つとなります。
山の安全に関する知識(装備、技術、食料、運動生理、救急、地図、レスキュー等)
山の自然科学に関する知識(地理、気象、観天望気、動物、植物、自然遺産等)
山が楽しくなる知識(リーダーシップ、歴史、先駆者、地名、芸術、山の雑学等)
要するに、山にかかわることならなんでも出題されるような、なかなかつかみどころのない検定試験です。特に、「山が楽しくなる知識」に関しての出題範囲はほとんど際限がないと言っていいと思います。山の歌の歌詞について出題されたり、
知るかよ!!
と思わず叫びたくなるような山に関する雑学、風俗的な問題が出されたりしてます。
上2つに関しては、ある程度体系的に学ぶことのできる出版物が発行されていたりしますが、検定に合格するのに一番大切なことは何なんでしょうか。
僕個人的な意見としては、普段の山行から吸収できる知識をできる限り吸収すること、周りにとにかく目を向けること、だと思いました。
例えば、八ヶ岳の赤岳に小屋泊で1泊2日の山行を計画したとします。
まず、準備段階では山行計画を立てるでしょう。それと同時に登山届も作成するかと思います。八ヶ岳山荘から入るのであれば、赤岳鉱泉、行者小屋までのコースタイムはどうなっているのか。赤岳へ登るルートは文三郎尾根なのか地蔵尾根なのか、はたまたバリエーションルートで赤岳主稜なのかなどなど。当たり前ですが地名を疎かにせず一つ一つきちんと覚えるというのも大切なことだと思います。山行計画に合わせて装備品も変わってきます。どんなギアが存在していて、それぞれがどのような役割を果たすのかを正確に理解しようと心がける。わからなかったら知ってる人に聞いたりメーカーのHPを見たりとかいろいろやり方はあります。
実際に山に入った後、登山道の脇に咲いている植物や花々の写真を撮って、家に帰ってから名前の同定をしてみるとか、雲の様子を記録しておいて天気図と照らし合わせてみるだとか。
全部が全部きっちりやってると楽しめるものも楽しめなくなっちゃうと思うので、あくまで心がけとしてですが、とにかく周りに目を向けて実体験に基づく知識ってのを増やしていくのが良いのかなと思った次第です。
参考にした本
実体験に基づく知識、とはいえこんな世の中なんでまだ山に行けていない人もいると思います。僕自身、さすがに自分でネットとかで調べるのだけでは足りなかったので、知識をつけるために買ってみていいなと思った本を紹介しておきます。
・ 山岳気象大全
言わずとしれた山岳大全シリーズの気象に関する本です。これを読んでおけばヤマケンの気象関係は大抵OKだと思います。難点は分量が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる点w
・高山植物の図鑑
紹介しているものは日本の高山植物400というポケット版で、結構持っている人が多いです。僕の持っているのは山渓フィールドブックスの高山植物って本なんですが、ぶっちゃけ図鑑であれば何でもいいです。山で撮ったお花とかを家に帰ってどれだろうな~と探してみるのは面白いかも。
・大人の山岳部
レイヤリングってなんだ?ってことからクライミングの知識まで入ってるので、一通り読むと登山の大枠を認知できるかと思います。
開催時期について
だいたい毎年同じ時期にやってます。11月の上旬です。
今年2020年は、今のところ11月8日に開催予定とのことです。
特にコロナ等の影響で中止になっているというわけではなさそうなので、もし興味があれば皆さん受験してみてはいかがでしょうか。
山の知識検定シルバー受かってました╭( ・ㅂ・)و グッ !山岳ガイド筆記試験一部免除獲得しました(受ける予定ない) #山の知識検定 pic.twitter.com/QVhpkAOdqD
— 和泉 (@6izumi9) 2018年12月10日